お客様インタビュー|株式会社丸山製作所
- IoT電力センサ
- SIRCクラウド

「工場電気代の約3割がコンプレッサー?!」
省エネ推進へ、IoT電力センサを導入。
スマートフォン製造工場や自動車工場の生産ロボットなどに採用される、精巧な金属部品。その切削加工から組み立てまでを担う株式会社丸山製作所は、1958年の創業以来ものづくりに真摯に向き合ってきました。
目指すのは、小さな部品で関わるすべての人を笑顔にすること。「まんまる笑顔製造工場」をコンセプトに、国内外からの高い品質要求に応えています。
その一方で、省エネやDX化にも積極的。業界をリードする取り組みは、多くの製造メーカーや行政からも注目されています。
今回は、工場の省エネに全力で取り組む同社に、SIRCの電力センサを導入いただいた経緯をインタビューしました。これまでの取り組み内容とともに、当社製品を今後どのように活用していきたいかをお聞きすることで、同様にコンプレッサーの電力削減に取り組む企業様へのヒントになればと考えています。

お話を伺った方
株式会社丸山製作所
本社工場
工場長 遠藤 様(写真右)
導入サービス
プロジェクトの背景
「コンプレッサーの電気代、いくらか知っていますか?」

コンプレッサーの省エネに取り組んだきっかけとは?
ある時「コンプレッサーなどで使用する空気の値段って、いくらだと思います?」と聞かれたのが始まりでした。初めは「空気だからタダでしょう」と答えたのですが、実は圧縮空気をつくるコンプレッサーが工場の電気使用量の20~30%を占めているとのこと。
実際に換算してみると、当社でも年間1,000万円を超える電気使用量だと分かりました。これはコンプレッサーの低圧化を進めるしかないと動き出したのが、2024年6月でした。
どのような対策からスタートしましたか?
まずは、実際にどれだけ使っているかを見える化するために、エアの使用状況を可視化できるエアマネジメントシステムを導入。コンプレッサーの圧力を見直すことから始めました。
主にNC自動旋盤で使用しているのですが、メーカー推奨の設定圧力は0.5MPa。これを0.35MPaまで落とすことにチャレンジしてみたのです。品質への影響がないことを確認しながら、徐々に圧力を下げて2週間ほど量産を行いましたが、0.35MPaでも大きな問題はなさそうだった。そこで、本社工場に30台ほどあるNC自動旋盤も同様に設定したのです。
それによって、電気使用量に大きな変化が?
8月の電気使用量が25%削減、電気料金も8.5%削減(前年比)という、驚くべき結果が出たのです。やればやるだけ工場の省エネにつながるという実感がわいてきました。
一般的に、工場で使用されているコンプレッサーの圧力というのは7~8気圧です。それを低圧化によって4気圧まで下げることを目指そうと。「4 BAR FACTORY」と名付けて、今さまざまな省エネ活動を行っているところです。
※「4 BAR FACTORY」の詳細は、丸山製作所のブログ で詳しく紹介されています。ぜひご覧ください。(外部サイトが開きます)
IoT電力センサ導入の経緯
「コンプレッサー単体で、電力を見える化したい」
次に出てきた新たな課題とは?
エアマネジメントシステム導入によって省エネの取り組みは大きく前進しましたが、コンプレッサー単体での電力状況の把握まではできていませんでした。本丸であるコンプレッサーの改善を突き詰めていこうとすると、やはりその電力量を見える化しなければならないと。
そこで、SIRCのIoT電力センサを検討されたのですね?
何かいいものはないか探していたのですが、たまたま出掛けたスマートファクトリー展でSIRCを見つけました。最初の印象は「こんな簡単に電力の見える化ができるんだ」ということ。すぐに営業の方に来ていただいて導入を決めました。
その他のサービスもいろいろ検討したのですが、計測機能はあるがデータの見える化はできないとか、コストがかかり過ぎるとか、あとは電力データは取れるけれどグラフ化など見やすくするには加工が必要だったり。その点、SIRCのIoT電力センサはクラウド接続もスムーズですし、1台のゲートウェイに最大20センサまでつなげられる点も将来的に活用できそうだなと思いました。

導入後に見えてきたこと
「見えないものが見えることの重要性を実感」
IoT電力センサを導入されてから、どのような変化や気づきがありましたか?
現段階ではデータの取得・蓄積を進めているところですが、既にいくつかの気づきが得られました。
たとえば、気温が高い日と低い日で、同じ運転設定でも消費電力がかなり違うこと。対応策として「紫外線シートを設置しようか」というアイデアも出ています。また、設定を少し変えるだけで、省エネ効率がかなり変わることも分かってきました。メーカーでは教えてくれないようなリアルな消費傾向があるんですね。
今は、もう少し期間がたってコンプレッサー単体の詳細な電力データが見えてくるのを楽しみにしている段階です。
とくに、これからの暑い季節は消費電力も上がるため、コンプレッサーの省エネ推進に期待がかかっています。詳細なデータを活用しつつ、具体的な施策を打っていければと思っています。
あわせて読みたい「コンプレッサーの省エネ」実践法
見える化することが、省エネの第一歩なのですね。
具体的な改善はこれからですが、まずは見えなかったものが見えるようになったことに大きな意味があります。
根拠となるデータがあると社内の説得がしやすいので、改善を進める私たちとしても次のアクションが取りやすくなりますから。
一連の活動で、社内の反応はどうですか?
かなり変わってきました。以前は「コンプレッサーは電力使用量がかなり多い」と伝えても、なかなか実感をもってもらえなかったのですが、具体的に見える化されると意識が変わるのでしょうね。エアの無駄使いが目に見えて減ってきました。
エアブローの使用タイミングを工夫しようという声が上がるなど、現場から具体的な意見が自発的に出てくるようになりました。

IoT電力センサの使いやすさはどうですか?
最初にすごいなと思ったのは、設置してすぐに電力データが見れたこと。それに、工場が稼働中でも簡単に設置できるのはいいですね。力率を入力しなくても、有効電力量が取得できることも、他にはない商品だと思います。
コンプレッサーの省エネ「見える化で無意識ロスを減らすことが第一歩」

工場見学の依頼が多いそうですが、省エネへの関心からでしょうか?
省エネ関連に限ったわけではありませんが、お互いにさまざまな情報交換をしています。加工技術について当社が教えていただくこともありますし、省エネの取り組みについては当社の経験をご紹介することもあります。
工場の省エネ対策は多くの企業が試行錯誤を重ねていますから、限られた資金のなかでどこに着目してどのくらい投資すべきかは大きな課題。ときには、行政からご相談を受けることもあります。
コンプレッサーの省エネ、アドバイスをするとしたら?
まずは、設備や装置ごとの使用状況を明確にするべきだと思います。エアというのは、目に見えないだけに無意識なロスが多いのです。たとえば、ちょっとした汚れ落としにエアブローを使っていたり、エア漏れにも注意が必要です。
それだけに、まずは見える化して、工場スタッフ全員で共有することが大切です。無駄を削減するために、エアブローの回数や圧力調整、遮断方法などを検討していくことで省エネにつながっていくと思います。
先進的な取り組みを進めておられますが、その原動力はどこから?
当社の社長は先を見据えたチャレンジに寛容なので、私も含めて現場からいろいろな改善アイデアを出しやすい環境にあると思います。工場の省エネだけでなく、社内コミュニケーションのDX化なども、ほとんどが現場から出てきたアイデアです。
今後、取り組んでいきたいことは?
私がつねづね思っているのは、「見えないところを見えるようにしたい」ということ。コンプレッサーについては、ほぼその体制が整ってきたので、この後は個々の対策を打ちながら削減を進めていくだけだと思っています。
IoT電力センサも今はまだ1台だけの設置ですが、他の工場にも展開することで新たなデータ活用方法が見えてくるのではないかと思っています。

株式会社丸山製作所
設立 1968年7月1日
代表者 代表取締役社長 丸山 善之
本社所在地 埼玉県春日部市新宿新田2-17
事業概要 金属加工業
HP https://www.egaoseizou.co.jp/
Q & A

_工場でIoT電力センサを導入するメリットとは?
設備・装置ごとの電力使用量が簡単に把握でき、ムダの特定や改善に直結します。

_SIRCのIoT電力センサは、他社と何が違うのですか?
電流だけを測る一般的なCTとは違い、SIRCの独自技術によって「力率」まで計測できます。そのため、より正確な消費電力を把握することが可能です。

_工場の省エネ対策で、電力の「見える化」はなぜ重要?
まずは現状を正しく把握することが省エネの第一歩です。ムダを見つけて具体的な対策を講じることで、効果的な省エネにつながります。

_コンプレッサーの省エネ対策では、どんな点に注目すべきですか?
放熱効率の最適化
コンプレッサーは運転中に大量の熱を発生させます。放熱が不十分だと消費電力が増え、エネルギーロスの原因になります。
吸気温度の管理
吸気温度を40℃から30℃に下げることで、効率が約3%向上します。逆に、排気熱が再吸気に混じると効率が低下するため、工場内の換気や排気の流れも重要です。
エア漏れや無駄なブローの削減
空気は見えないためロスに気づきにくく、ブローの使い過ぎや漏れにより、コンプレッサーに無駄な負荷がかかってしまいます。
こうした対策を効果的に進めるには、電力の「見える化」が不可欠です。特にコンプレッサー単体の電力使用量を把握できれば、改善前後の比較が可能になり、対策の効果を数値で検証できます。