お客様インタビュー|中国電力株式会社+広島精密工業株式会社
- IoT電力センサ
- SIRCクラウド
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中国地方を中心に電気をお届けする中国電力株式会社。その活動は電力供給にとどまらず、地域課題の解決に貢献する先進的な製品やサービスを持つベンチャー企業への投資や、カーボンニュートラルの実現に向けた、独自のノウハウを活かしたコンサルティングなど多岐にわたっています。
今回は、自動車部品の製造・販売を手がける広島精密工業株式会社との協力により実現した、IoT電力センサユニットとSIRCクラウドを活用したフィールドテストと、今後の新たな省エネ・CO₂削減コンサルティングの開発についてご紹介します。
今回お話を伺った方
中国電力株式会社
販売事業本部 技術営業グループ 本部エリアマネージャー 上岡様
販売事業本部 技術営業グループ 岡野様
広島精密工業株式会社
企画・営業・購買担当 執行役員 岩﨑様
合理化推進室 次長 尾越様
―貴社の事業内容と担当されている業務内容を教えてください。
中国電力
当社は中国地方を中心に電気をお届けする電力会社です。私たちが所属する販売事業本部(技術営業グループ)では、法人のお客さま向けに、省エネ・CO₂削減の実現に向けたさまざまなサポートを行っています。具体的には、お客さまが保有するエネルギーデータや当社が行うエネルギー計測によってエネルギー使用状況を「見える化」し、分析結果に基づき具体的な対策提案を行うなど、カーボンニュートラル達成に向けたロードマップ策定のお手伝いをしています。
広島精密工業
当社は、自動車部品の製造・販売を手がけています。主に自動車メーカー向けにエンジンおよびトランスミッション部品を生産しており、現在の主力製品はエンジンオイルポンプです。製造工程では、アルミ製品の機械加工と組み立てを行っており、当社で使用するエネルギーの99%が電力であり、マシニングセンタ(工作機械)や組み立て装置によって消費されている状況です。担当業務は多岐にわたりますが、今回はカーボンニュートラル推進の立場からお話しさせていただきます。
―今回のフィールドテストの経緯について教えてください。
中国電力
当社は2019年、「エネルギア創造ラボ」を設立し、地域課題の解決につながる先進的な製品やサービスを持つベンチャー企業との協創を進めてきました。その一環として、投資先のSIRCが提供する商品・サービスを活用した省エネ・CO₂削減コンサルティングを開発するためのフィールドテストの可能性を模索していました。
一方で、長年にわたり電力供給を通じてお付き合いのある広島精密工業様から、省エネやカーボンニュートラルに関する取り組みについてヒアリングを行う中で、省エネ法に基づくエネルギー消費原単位※についてのご相談をいただきました。この課題に対し、設備ごとの電力見える化を実現するSIRCの商品・サービスが適していると考え、フィールドテストにご協力いただくこととなりました。
広島精密工業
当社では、お取引先様からの要請もあり、2020年頃からカーボンニュートラルに向けての取り組みを始めました。当初は消費電力量の増減を確認する程度でしたが、実際に省エネへの取り組みや、設備の状況を把握するには、設備ごとの実測値が必要だと感じていました。そんな折に中国電力様からフィールドテストのご提案をいただきました。
※エネルギー消費原単位:事業者等におけるエネルギー効率(生産のためにどれくらいのエネルギーを使用したか)を示すために算出する値で、エネルギーを有効に利用しているかどうかを測る指標となる。年間エネルギー使用量を、生産数量や重量、売上金額といったエネルギー使用に関係する数値で割って算出する。
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―フィールドテストの内容を教えてください。
中国電力
まず、IoT電力センサユニット導入に向けた設計を行い、現地調査を通じて各設備に必要な電力センサの数やクラウドとの通信状況を確認しました。その後、計測スケジュールを立て、実際に電力センサを設置しました。設置に際しては、IoT電力センサユニットの取り扱いやクラウドシステムの操作方法について、中国電力でサポートを行いました。
サポート後はスケジュールに基づき、広島精密工業様の方で4台のIoT電力センサユニットを移設しながら、約3ヶ月にわたって設備ごとの分電盤約38箇所で計測を行いました。1ラインあたりの計測期間は10日から16日間です。得られたデータはSIRCクラウドで常時共有し、CSVデータを用いて独自グラフで見える化を行いました。
見える化したことで、製品別のエネルギー消費原単位の把握に加えて、生産量に応じたエネルギー消費のバラツキなども確認できました。これにより、待機電力等の運用改善に向けた課題を洗い出すことができました。
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―以前はどのような方法で電力計測されていたのかを教えてください。
広島精密工業
12年ほど前に購入した、可搬式の電力計を使用していました。
―その際の課題を教えてください。
広島精密工業
電圧と電流の計5か所取り付けるものだったのですが、電圧を計測するためのクリップを充電電路※に取り付ける必要があるため、安全面に少し不安がありました。分電盤内が混雑していると取り付けが難しく、保護具を着用していても、充電電路に触れることで感電のリスクがありました。
また、本体がお弁当箱程度の大きさで、分電盤には収まらなかったため、保護箱に入れて外に置く必要がありました。データ収集についても、SDカードに記録されたデータを取り出す手間がかかり、時間が取られていました。
※通電状態で、裸線や露出部分に触れると感電の恐れがある回路。
―弊社商品を使ってみてよかった点を教えてください。
広島精密工業
コンパクトなのが一番いいですね。制御盤に収まるので、外に出しておく必要がなく、作業の支障になりません。SIRCクラウドを使えば計測状況が随時確認できるので、異常値が発生した場合もすぐに把握できるのがメリットだと思います。CSVデータもブラウザ上から簡単にダウンロードできるので、SDカードを取りに行く手間もなくなりました。
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▲ 中国電力の上岡様サポートの元、広島精密工業の尾越様が取り付け作業を実施。
中国電力
センサヘッドがコンパクトなので、クランプする際に電線の隙間を空けるためこじ開けるような作業が必要ないのも安全面で優れていると思います。
お客さまの環境によっては、力率が50%~60%程度変化する場合もあり、力率が取れないことによって計測データが全く意味のないものになる可能性があります。「IoT電力センサユニット」は力率を加味したデータ計測ができるため、その点も優れていると感じています。
SIRCクラウドは、当社とお客様の双方がブラウザ上でリアルタイムデータを活用して課題を共有できるため、Webミーティングを通じたコンサルティングが可能である点も、大きな特徴の一つだと考えています。
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▲ WEBミーティングを通して、双方でSIRCクラウドを確認。
―現在の取り組みについて、今後の展望を教えてください。
広島精密工業
まずは計測データと現場で実際に起きている出来事を照らし合わせ、改善点を洗い出していきたいと考えています。複数の機械設備がある中で、無駄な電力消費を見える化し、省エネに向けた具体的なアクションをしていきたいと思っています。
中国電力
エネルギー計測に関する経験やノウハウに課題をお持ちのお客さま向けに、導入コストを抑えた商品をご紹介し、計画から設置、運用、管理まで一貫したコンサルティングを提供することが目標です。収集したデータをもとに、省エネやCO₂削減のポテンシャルを洗い出し、省エネ対策の効果検証もしていきたいと思っています。
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―導入を悩んでいる企業様へメッセージをお願いします
広島精密工業
取り付けが簡単で扱いやすく、データも簡単に確認できるため、手間が大幅に減り、メリットを感じています。
中国電力
今回のフィールドテスト結果から、SIRC製品を用いたエネルギー使用状況の把握は、エネルギー管理を行ううえで、有効な手段であることが確認できました。
IoT電力センサユニットは工事不要で簡単に取り付けでき、移設も手軽にできるため、省エネ取り組みの第一歩を気軽に踏み出すことができる商品です。
「省エネ対策に取り組みたいけれど、何から始めていいか分からない」など、エネルギー管理にお悩みのお客さまにおすすめの商品です。
中国電力は、本フィールドテストの結果を踏まえて、2025年1月17日に「省エネ・CO₂削減コンサルティング」の新たなメニューとして「IoT型計測診断」サービスの提供を開始しています。
▶ 詳細は こちら からご覧ください。
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中国電力株式会社
設立 1951年5月
代表者 代表取締役社長 中川 賢剛
本社所在地 広島市中区小町4-33
事業概要 発電事業、小売電気事業 等
HP https://www.energia.co.jp/
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広島精密工業株式会社
設立 1950年10月
代表者 代表取締役社長 森野 浩志
本社所在地 広島市南区大州2丁目5-13
事業概要 輸送用機械器具の製造
HP https://www.hseimitsu.co.jp/